ラップを日本メジャーシーンに根付かせた【KREVA】万能ラッパーの鏡!

目次

KREVAとはどんなラッパーなのか

KREVA(クレバ)は、日本においてヒップホップが一部マニア向けの音楽ジャンルだった時代、その世界に飛び込み、ヒップホップが広く大衆レベルにまで浸透していく一大ムーブメントを牽引した中心的ラッパーです。

本家でありながら、それに止まらないKREVAの歩み

・1997年:LITLE、MCUとともに結成した3MCのラップグループKICK THE CAN CREWを結成
・日本最初のMCバトルイベントとされる「B-BOY PARK」で1999年より3年連続優勝という快挙
・2001年:KICK THE CAN CREWのメジャーデビュー 、以後リリース曲が大ヒットを連発
・2002年:ラッパーグループとしては極めて稀な紅白歌合戦への出場
・2004年:KREVAとしてソロ名義での活動を開始~今日まで第一線で精力的な活動を継続
21世紀になって間もない日本、KICK THE CAN CREWは同じくラッパーグループであるリップスライムと共に大衆的人気を獲得、ヒップホップ系の楽曲を次々にヒットチャートへ送り込み、Jpopミュージックシーンに新たな1ページを加えました。ラップという存在が、一つの音楽分野、表現方法として広く一般的に認知されるようになったのはちょうどこの頃です。
2004年からKREVAはソロとしての活動を開始、「音色」や「スタート」のような聞きやすく、ラップでありながらも歌詞の意味を味わいながら聴ける楽曲をヒットさせることに成功し、第1人者でありつつも既存の枠に囚われない独自の音楽表現を追求する姿勢を示し続けました。

 

KICK THE CAN CREWとして世間にヒップホップの存在を知らしめ、長年のソロ活動を通しても常にリスナーを魅了し続けるパフォーマンスを展開。デビューから20年近くが経っても、未だにその成長と変化に限界を見せない男、ある種孤高でありながらも、人々から愛され続けている日本の看板ラッパー/ミュージシャン、それがKREVAです。

KREVAのラップスタイル、その音楽的特徴

KREVAは日本最古のMCバトルイベントを3連覇した実績からもわかるように、ラップスキル自体に定評のある男なのですが、彼は何も玄人だけから熱い支持を得るアーティストではありません。元来ラップに興味がなかった層から、あまりラップが好きではない層まで、固定観念を覆しながらファンの裾野を広げてきました。

 

私が感じる範囲では、ライミングのスタンスとしては小節の末で韻を踏む脚韻がベース。何が何でも韻でがんじがらめにしてラップするというよりは、メロディーの流れもしっかり優先させながら、歌曲としてのバランスを保って韻を踏んでいる印象を受けます。
そのためKREVAのラップはメロディー性の強い歌寄りのテイストが多く、視聴者にとっても歌詞を含めて非常に聴きやすい楽曲が大半です。この傾向はソロ名義の作品からより強まった感があります。
また、KICK THE CAN CREW時代から、大半の楽曲のトラックメーキングを自ら手掛けているのも有名で、ラップはもちろん自作のビートを存分に生かした世界観を作り上げようという意図が各作品から感じられます。メロディ(音色)の主体性を殺さずに、巧みなフロウでラップを重ねていくKREVAスタイルは、彼が作詞者としても作曲者としても強いこだわりの持ち主であること示唆しています。

ソロ活動15周年で届けてくれたあまりに「粋な」楽曲!

KREVA「音色 ~2019 Ver.~」(Full Ver.)

KREVA「音色 ~2019 Ver.~」(Full Ver.)
ソロ活動15周年を機に、既存のファンそして、KREVAをこれから知るであろう人々に向けて届けれられたのは、ソロデビューアルバムでシングルカットされた「音色」の2019年バンドサウンド再録バージョン!彼のキャリアで最も多くのリスナーに支持されたお馴染みの楽曲が息を吹き返し、懐かしくも新しい風を15年振りに吹かせてくれました!

 

オリジナル版よりも弦楽器の調べがより落ち着いた雰囲気を漂わせるサウンド、その音色に合わせるKREVAのフロウもより滑らかで伸びやかなものにチューニングされています。同じ歌詞なのに、ここまで「別物」として聴かせてくれるKREVAの演出と技能には改めて感服します!

実力者同士異例の共演!コロナ禍2020年に投下した傑作!!

KREVA 「タンポポ feat. ZORN」MUSIC VIDEO

KREVA 「タンポポ feat. ZORN」MUSIC VIDEO
意外な組み合わせでした。

 

KREVAはそのキャリアの中で、ゲストとのコラボ曲は多く発表してきましたが、KICK THE CAN CREWメンバー同士のラップのかけ合いを除くと、案外ラッパーとの共演は少なめでした。そうした傾向を考えても、ZORNとの共演はクレジットを目にしただけでも「おや?」とかなり興味を引くものがありました。
実はこの曲で採用するビートについて、「最終候補2つでかなり迷っていた」とKREVAとZORNは語っています。そして、判断の決定打となったのはその場に居合わせていたラッパーAKLOの「得意なことをやった方がいい」という言葉だったそうです。「得意なこと」というのはKREVAもたびたび自身の曲でラップすることがあるテーマで、AKLOのこの言葉がストンと腑に落ちる部分があったのだと思います。
そしてお聴きの通り、KREVAのフロウが本当に気持ちよく馴染む、清涼感の中に幾ばくかの切なさが薫るビートをこのタンポポで堪能することができます。KREVAとしては、ZORNとの共演を意識して、特に競い合う意図はないけれども、韻の密度を重視したという話をしていました。
双方、スキルフルで素晴らしいリリックがドッサリなのですが、ZORNからの先輩ラッパーKREVAへのリスペクトが半端ないです。分かりやすい所では「イッサイガッサイのみこんで」とKREVAの過去のヒット曲のフックを歌詞に引用しています。
この相思相愛ぶり、ついニンマリしてしまいます。

KREVAの定番スマッシュヒット曲

一際高水準のセールスを記録したKREVAの代表曲を紹介します。
歌い始めに「Dr.K」と頻繁に言いいますが、KREVAの通り名のようなものですね。

スタート

スタート
ここまで歌詞の内容を追いやすいラップをしてくれるのは、KREVAしかいないのではないのでしょうか。

 

KREVAは「言葉を立たせるために必ずしも韻踏みだけには縛られない」といった見解を述べていたことがあります。そうしたスタンスで綴られたリリックはラップに不慣れなリスナーにとっても聞きやすく、ミッドテンポのメロディと共に歌詞の中身まで十分に味わうことができます。

イッサイガッサイ

イッサイガッサイ
フックの「イッサイガッサイのみこんで~」このフレーズを「タンポポ」の中でZORNが自身のリリックに引用していました。

 

きっと子供時代、ZORNはこうしたKREVAの曲を聴きながら日々成長していたのでしょう。リリース時期が15年も離れた曲同士がたった一つのフレーズで繋がり、「若き日のZORN」という特別な光景まで勝手に想像できてしまう…音楽って面白いですね。

音色

音色
冒頭で紹介した音色2019年Ver.のオリジナル曲です。
聴き比べて、サウンドやフロウ(KREVAの歌い方)の違いを楽しんでもらいたいです。

 

音色とデートで韻を合わせた表現、KREVAがいかに音色を愛してやまないか、その想いの深さを感じることができます。本当にKREVAにとって「音色」は女性以上に四六時中デートしている存在なんだと思います。

KREVAの真骨頂!?著名シンガーとの輝かしきコラボ曲群

KREVAは、一見ラッパーとは絡みがなさそうな有名シンガーともコラボを果たし、いくつものヒット曲を世にリリースしています。共演者からは「合わせてくれるのが上手い」、「投げっぱなしでも回収してもらえる」と総じて好評みたいです。

くればいいのにfeat.草野マサムネ from SPITZ

くればいいのにfeat.草野マサムネ from SPITZ
スピッツの草野マサムネ、長年根強い人気を誇るロックバンドの実力派シンガーと…

 

クレジットを見た段階ではKREVAとの共演が、正直どんな感じのかけ合いになるのか全く想像ができませんでした。
聴いてみて「そう来たかーー!」と本当に良い意味で納得。双方が出しゃばり過ぎずに実によくまとまっています。サウンドから歌い方までちょうど足して2で割ったあとに、ムラが出ないようによく混ぜ込んであります。2人共実に器用なんですね。

KREVA 「Fall in Love Again feat. 三浦大知」MUSIC VIDEO

KREVA 「Fall in Love Again feat. 三浦大知」MUSIC VIDEO
2020年にリリースされたばかりの三浦大知との共演曲です。
三浦大知は歌唱もダンスもハイレベルでこれからますます大注目のアーティスト。

 

冒頭、(どんなに辛くて)も死んじゃダメFall in love againを完全に韻で被せてきました。
ラップにおいて、歌い始めはやはり大事なパンチラインを持ってくることが多いそうで、コロナ禍における「死んじゃダメ」というメッセージ性を際立たせたいというKREVAの優しさと拘りが感じられます。

生まれてきてありがとう(feat.さかいゆう)

生まれてきてありがとう(feat.さかいゆう)
実力派シンガーソングライターとして同業者からも多くの称賛の声が上がっているさかいゆうとのコラボ。
表現のスタイルはやや畑が違うものの、2人は親交が深く、スタジオに入ると相性バッチリ作業がどんどん捗っていったそうです。

KREVA「One feat.JQ from Nulbarich」(Full Ver.)

KREVA「One feat.JQ from Nulbarich」(Full Ver.)
こちらのJQとの楽曲「One」は、草野マサムネが客演した「くればいいのに」とはほぼ逆の系統に立つコラボ曲という印象を受けます。
完全に共演者同士が混ざり切ってしまうわけでもなく、双方がしっかりと個性を際立たせた上で、2人の音楽性が高い次元で共鳴し合うことに成功しています。

やっぱいいよね!復活KICK THE CAN CREWからのリリース!

2017年にKICK THE CAN CREWが帰ってきました!

活動休止してからずいぶんと歳月が流れ、正直このグループの具体的な魅力というものを忘れかけている面もありましたが…やはりこの上背バラバラ3人のかけ合いはカッコいい!のれる!

KICK THE CAN CREW「千%」MUSIC VIDEO

KICK THE CAN CREW「千%」MUSIC VIDEO
千%、久しぶりの新曲は配信限定でのリリース。
歌詞には「ライツカメラアクション…棒立ち」などこれまでリリースしたヒット曲のフレーズが贅沢に散りばめられています。
待っていたファンへの粋な演出と捉えることもできそうです。これだけ引用しながらも、この「千%」本体のリリックとしてちゃんと成立しているという点も実にお見事です。

 

オーセンティック感とキックザカンクルーらしさを掛け合わせたようなビートの完成度が素晴らしい!
例に漏れずトラックメーキングはKREVAが手掛けています。

KICK THE CAN CREW 「住所 feat. 岡村靖幸」Music Video

KICK THE CAN CREW 「住所 feat. 岡村靖幸」Music Video
KICK復活から約1年後、シンガーソングライター岡村靖幸とのコラボ。
これまたなかなか乙なラインを狙ってきますね。

 

本作品はゲストと共に曲を作り上げただけあって、普段のKICKの曲に程よくスパイスをまぶしたような新鮮さも楽しむことができます。

KREVAならでは!良さが溢れるおすすめ曲

この音は…このフロウは…KREVAならではだね!というおススメの曲を紹介します。

Have a nice day !

Have a nice day !
前奏の時点でもうKREVA一色!続くラップも言わずもがな。

 

開放感ビンビンのビートは宮古島で一気に作ったそうです。

瞬間speechless

瞬間speechless
この曲タイトルはまさに「ラップのお題目」という感じで良いですね。

 

ちょうどVerseとサビの切り変えのタイミングで「瞬間にすぐに恋に落ちた、そこからはスピーチレス」という展開なのですが、文字的な意味だけではなく、このスローーーなフローーーーーの表現で一目惚れで時が止まっている状態を鮮明描写しています。
speechlessに対して「ん」をほとんど発声しないテクニックにより「雰囲気」で完全に韻を被せている部分などもオシャレでお気に入りです。

C’mon, Let’s go

C'mon, Let's go
この曲は、メッセージ性の強い歌詞もしっかり聴いてもらいたいです。
とはいえ何かを押し付けようとするものではなく、背中を押してくれる、励ましてくれるような温かさがあります。

 

後半は珍しいアカペラに切り替わりますよ。
「みんなバラバラでいい、得意分野で頼むよ、でも90%じゃ足りないかな、100%でよろしくな!」(要約)
KREVA版「世界にひとつだけの花」って感じでしょうか?

かも

かも
KREVAは歌詞の内容という点でも実に唸らせてくれる楽曲が多いですね。
この曲もぜひぜひ歌詞をじっくり味わっていただきたい。

 

高音のピアノが奏でるメロディーも美しく、心が優しく洗われるようです。タイトルの通り、「~かも」と言って語りかけてくれるのってすごく彼なりの優しさを感じます。
けっこう抽象性の強い歌詞なのですが、それがかえって一人一人のリスナーにグサッと刺さるカラクリになってるんですよね、もう憎いなこのっ!

過小評価が勿体ない!?もっと知られてほしいスルメ曲

ここでは、もちろんヒット曲ではあるんですが、正直もっともっと評価されていいんじゃないか?より多くの人に聴いてもらいたいな…という楽曲を紹介します。

人によっては「曲調として、ヒップホップとかけ離れてるよな」とネガティブに感じることがあるのかもしれません。しかし、KREVAとしてはそういう意見があるのも承知はなず、それ以上に自身の成長と新しいファクターへの挑戦という未来を躊躇なく選び取るでしょう。

KREVA「嘘と煩悩」(Full Ver.)

KREVA「嘘と煩悩」(Full Ver.)
「嘘と煩悩」で丸1曲作るという発想に感服しますが、実際に中毒性のある良曲に仕上げてきてます。

 

この曲、MVの演出もかなり好きです。
さらに、大事なオチとして、嘘と煩悩を歌い上げる本人が実は嘘と煩悩から成り立つ存在なの?という面白いロジックが判明します。ウソ800+煩悩108で908=KREVAだというのです(笑)
そして、敢えてそれ以上飛躍したことは言及しないというのがまた見事で、色んな解釈を楽しむ余地は存分に残してくれています。

トランキライザー

トランキライザー
音色の2019Verの時も同様に感じたんですが、KREVAはメロディーに合わせてフローを巧みに微調整するのが実に巧いですよ。

 

このトランキライザー、ラッパーの歌唱曲としても最高クラス!
そしてまた意味深な歌詞…けっこう葛藤してるんだなというのがわかりますが、結局全然ネガティブではないんですよね。いずれにせよ前に進むためのポエティックリリックなのです。

あくなき追求心!歌謡曲の大物ともセッション!

石川さゆり / 『オープニング「火事と喧嘩は江戸の華」 ※feat. KREVA, MIYAVI~ストトン節』プロモーション映像(アルバム「粋~Iki~」より

石川さゆり / 『オープニング「火事と喧嘩は江戸の華」 ※feat. KREVA, MIYAVI~ストトン節』プロモーション映像(アルバム「粋~Iki~」より)
KREVAのコラボシリーズついにジャンルという厚い壁をぶっ壊しました。

 

石川さゆりのアルバム「粋」の冒頭に収録されています。
「江戸の粋」という共通項(トランキライザー参照)を歌謡曲のベテラン歌手との間に見出したのは革新的ですね。

もっと聴こう!KREVAその他のおすすめ曲

諸事情で、残念ながら本文で紹介しきれていない名曲をいくつか列挙しておきます。

機会があればぜひ聴いて、KREVAの魅力により引き込まれていってください!(いってらっしゃい)

 

クリスマス・イブRap(KICK THE CAN CREW名義)爆発的セールス、典型的サンプリングラップの傑作
アンバランス(KICK THE CAN CREW名義)メロディーと韻とフローが織り成すアート、神フック
ファンキーグラマラス(KREVA feat. Mummy-D from Rhymester) 貴重な共演メンツによる完成度高いアゲアゲチューン

 

 

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